2009.09.10
社員R

宮澤君のこと

札幌にはJリーグのサッカーチームがあるので、それを応援していたりするのですが、今日はそのチームの選手の話をしたいと思います。

宮澤裕樹こと宮澤君は2007年度の高校サッカー選手権で北海道代表として出場した経験のある室蘭大谷高出身の選手です。ポジションはフォワード。U-17-20まで連続で日本代表に選出されている逸材で、2007年度卒の選手の中では目玉の一人でした。本来札幌のようなチームがスカウトできるような選手ではなかったのですが、本人の地元であったこと、またその年札幌がJ1に昇格したことが大きく、めでたく札幌のユニフォームに袖を通してくれることとなりました。あの強豪鹿島からもスカウトがあったという話なので実にありがたい話です。

ルーキーイヤーの2008年、いきなり出場の機会を得ます。この年の札幌は故障者が続出で、高卒ルーキーの宮澤君に出番が回ってきたのでした。彼はこの年、公式戦6試合、カップ戦2試合の計8試合に出場し、J初ゴールも決めています。

選手としては、まず足もとの技術が確かでパスは正確、182cmの長身でポストプレイも無難にこなし、非常に広い視野から決定的なパスを出すことができるフォワードです。とかく世代別代表に選出されるだけあって、ほかの同年代選手とはスケールが違うなという印象です。

ただし、ゴールに対して非常に消極的という致命的な欠点を持っています。彼は相手DFの裏に抜けたタイミングであろうが、ペナルティエリアでフリーであろうが、まず第一選択肢はパスです。このペナルティエリア内でもファーストチョイスがパスというのは、フォワードとして最も大切なものが欠落していると思うのですが、どうも彼は高校時代から一貫して周りに決定的なパスを供給して勝利に貢献するタイプのフォワードだったらしく、そうやって世代別代表に選ばれ続けた選手なので仕方ないといえば仕方ないのかも知れません。

人と争わず仲間に譲り、周りを使って味方のゴールを引き出す草食系男子フットボーラー、それが宮澤君なのです。

しかし、その消極的なプレイスタイルは、とかく超攻撃的姿勢を好むスタジアムバックスタンドホーム側に生息する野次親父には絶好の好餌で、ゴールに近い場所で横パスを出すたびに数々の罵声を浴びてきたのでした。ナイトゲームでピッチに立つ彼の存在は、あたかも野次親父の罵声を集める誘蛾灯のごときです。

そんな彼に今シーズン転機が訪れます。とある試合で故障者と出場停止が重なり、中盤の底-ボランチの選手がいなくなってしまったのです。そこで「中学時代2、3回やったことがある」という理由で宮澤君に白羽の矢が立ちました。そしてこれが功を奏します。

前述したとおり、彼は早いルックアップと広い視野を持ち、そこから正確で決定的なパスを供給できる選手です。この特性は、ボランチというポジションで遺憾なく発揮されました。何より大きかったのは、ペナルティエリア前で横パスを出すと容赦ない罵声を浴びますが、ハーフウェイライン付近で行われるそれは散らしのパスとして認識され罵声を浴びる事がありません。ポジションが変わるだけでずいぶんと扱いが変わるものですが、ともあれボランチのポジションである程度結果を出した宮澤君に対する野次親父の風当たりは、最近ではずいぶんとやわらかくなったのでした。

しかし宮澤君の登録はフォワード、背番号も11なんです。背番号11のボランチなんてほぼ聞いたことがありませんし、やはり本来のポジションで結果を出してほしいものです。

と思っていたら、8/5のナイトゲームでやってくれました。久しぶりにフォワードで先発出場し、なんと2ゴールの大活躍です。

[youtube:https://www.youtube.com/watch?v=k6RObRN3Erw]

1:00あたりが1点目なんですが、ああ、なんでしょうかこのコロコロゴールは。
私はこの試合を現地で見ていて、いつもならばゴールが入ろうものならば一斉に立ち上がって歓声を上げるのですが、このときは「え?今のゴールなの?入ったの?」という感じでとっさに立ち上がれず歓声を上げ損ねてしまいました。
技ありゴールともいえますが、なんかやる気のなさそうなゴールという感じもします。実は宮澤君はこの手のコロコロゴールがほかにもあるのでした。

本人は間違いなく一生懸命やっているのでしょう。なのですが、その消極的なプレイスタイルとぼややんとした風貌ゆえに、どうもやる気がないように見えて仕方ありません。ゴールを決めても、ポストプレイで相手選手と競っても、決定的なスルーパスを出しても、悪質なファールを受けて転がされても、なにかやる気がない(ように見える)のです。

厚別競技場で初秋の夜風を感じながら、「ぁぁ今日も宮澤君はやる気がねえなあ」とつぶやく幸せを噛みしめる今日この頃なのでした。

念のために宣言しますが、私は宮澤君が大好きです。(社員R)

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