近未来、発展途上国ではいたるところで大虐殺が頻発する世界、主人公はアメリカ特殊部隊i分遣隊の一員として数々の虐殺の現場に足を踏み入れるが、そこには必ずジョン・ポールと呼ばれる謎の男の影がある。ジョン・ポールは、過去に発生した大量虐殺を研究する中で、集団に対し意図的に虐殺を引き起こす「虐殺の文法」を発見していた。
というのが虐殺器官のおおまかなストーリーです。
後に作者が34の若さで故人となったことでも話題になった作品でありますが、この作品の素晴らしいところは、中学生が考えた漫画のプロットを最強に高めたその様です。しかも、それについて、卑下する様子はまったくなく、逆に誇示しているかのように見えるところがまた素晴らしい。ここまで高められた内容でありながら、ルーツとしての中学生の考えた漫画の部分は色濃く残っている。これは最大限に研磨された「ぼくのかんがえたさいきょうのとくしゅぶたい」であります。
この中学生が書いたプロット的な部分を評価できる素養を持つ人が、この作品を楽しめるのではないかと思うのですが、宮部みゆきが文庫本の帯で「私は三回生まれ変わってもこんなの書けない」と激賞しているのは、彼女にその素養があるからなのではないかと思います。
作者がこれを小説という形で発表した理由は、絵が描けなかった以外に思い当たりません。そういう意味で実にラノベ的な作品とも言えます。ま、SFなんですが。
それにしても、この「○○の文法」というのは、与太話のネタ元として大変応用に富んだものであります。ちょっと考えただけでもいっぱいでてきますね。
二日酔いの文法とか
残業の文法とか
家庭内不和の文法とか
酒飲んで自転車乗ったら転倒する文法とか
弊社はIT企業ですから、それにちなんで「デスマーチの文法」というのを考えてみましょう。「デスマの文法」をつむぎ出し、現場に恐慌を引き起こすジョン・ポールの存在。しかも意図してではなく無自覚にそれを引き起こす・・・・
ああ!なんかリアルな話になってきましたね! 少し記憶の糸をたぐっただけでも嫌~な記憶がよみがえってきそうです。
なんかつらくなってきたので、この項了とします。
(社員R)