すでに過ぎてしまいましたが、6月8日午前9時からの24時間、「World IPv6 Day」というイベント(?)が行われていました。
これはIPv4アドレスが今年中にも枯渇するのではないか?といわれていることを受け、よりアドレスが増えるIPv6の利用を推進していこう、という目的のもとに行われた取り組みで、GoogleやFacebook、Yahooといった大手サイトがこれに参加しました。
実際のところ行われたことは「一時的なIPv6対応」だったわけで、これにより何らかの影響を「受けるかもしれない」といわれたユーザー(正常に閲覧できないなど)は0.05%ほどといわれており、多くの人にとっては実はあまり何の問題もなかったというか、そもそもそんなことをやっていたことを知らなかった方も多いのではないでしょうか?
さて、そもそも何の前置きもなしに出てきたこのIPv4とかIPv6とかこれはいったい何なのでしょう?
IPv4、IPv6はそれぞれ「Internet Protocol version 4」、「Internet Protocol version 6」の略称であり、「インターネットのプロトコル(約束)」という名のとおり、今日のインターネット上ではとても重要で、またとても基本的なお約束のことです。
ここで用いられる「誰」というネットワーク上の機器識別に使われる番号が「IPアドレス」と呼ばれるもので、「IPv4アドレスが枯渇する」とはつまり「もうこの番号に空きがなくなっている」ということなのです。
ちなみに、IPv4で利用できるIPアドレスの数は約2の32乗(=約42億)個です。これだけの数があっても足りないというのも驚きですが、しかしよく考えると日本国民から一人1円ずつ貰えば1億2千万円になるわけですから、そう考えると確かに足りなくなるのも頷けます。
それに比べると、IPv6のIPアドレスの数は約2の128乗(=約340澗)個になります。「澗ってなんやねん!」って話ですがこれは10の36乗、1兆の1兆倍の1兆倍という数であり、もうなんだかよくわかりません。
無意味に36個並べてみました |
じゃあそのIPアドレスっていったい何なのよ?という話になるのですが、しかし待ってください。確かに大した説明もなくIPアドレスの数がどうのこうの言いましたが、それよりもまず出てくるべきごく自然な疑問をスルーしていました。
「IPv5ってないの!?」
4の次は5です。5の後に並ぶのは6です。これは多くの場合において正しいといえるでしょう。だとすれば、IPv6は本来であればIPv5でなければならないのではないでしょうか?
実はIPのバージョンを管理している組織の管理表によると、IPv4とIPv6の間に5番目のプロトコルが存在します。ただし、それはIPアドレスに関係するものではありませんでした。そしてその中身も実験的なものであり、一般に広く流通するものではありませんでした。結果として、IPv5(と呼ばれるかもしれなかったもの)は幻のような存在として日の光を浴びることはなかったとのことです。
同様にIPv6が採用されるまでに、ライバルとして7,8,9の番号が振られたプロトコルが存在したため、仮にIPv6の次を考えるとそれはIPv10まで飛ぶことになります(実際にはライバルに負けてしまえばIPv14とかになる可能性ももちろんあります)。
ただどちらにしても、今まで聞いたこともないような単位まで拡張されたIPアドレスが枯渇するような世界はあまり想像できませんね……。(tel)