2013.08.15
F生

「弱くても勝てます」など

全国的に暑い毎日が続いている。
データセンター立地に最適な気候のはずのここ北海道も暑い。
こんなに暑いのに甲子園はもっと暑い、というか熱い。
全国高等学校野球選手権大会。いわゆる高校野球、夏の甲子園だ。

高校野球はアマチュアの競技大会としては世界最大だ(と思う。なんの根拠もないけど)。
各都道府県の予選を勝ち抜いた強豪高校が一同に会し、8月の一番暑い時期に一番暑い関西の一番暑い屋根のない球場で繰り広げられるサバイバルベースボール大会だ。

各都道府県の強豪の集まりのはずなのに、なぜか優勝候補とそれ以外の高校に色分けされている。
優勝候補のチームは超高校級でプロ野球の某チームより強そうで、注目度も高い。
それ以外のチームは、地元以外の注目度は極めて低い。

たまに地元以外で全国的に注目されるとしたら、部員が10人しかいないのに勝ち上がってきたチームだったり、県内一の公立の進学高であったり、ピッチャーが左右どちらの腕でも投球できたり、選手に一人女性が混じっていたり(でもどの選手が女性かわからない・・・)と、意外性のあるチームだけだ(例が出鱈目だが)。

しかし、意外性もなく普通に注目度の低い高校でもひとたび強豪校を倒し、2回戦、3回戦と勝ち進むと俄然注目を浴び出す。
ましてやそのチームが優勝をした日には、なぜ強豪校でもないのに、優勝できたのか?
その秘密を探るという書籍になる。

「佐賀北の夏」(中村計著 新潮文庫)は、2007年の夏の甲子園で優勝した全国的には無名な佐賀県の公立佐賀北高校の野球部の指導者と選手を追ったドキュメンタリーだ。
佐賀北の夏―甲子園史上最大の逆転劇 (新潮文庫) [文庫] / 中村 計 (著); 新潮社 (刊)

チーム打率も低く、突出した選手もいないチームがなぜ前橋商や帝京という強豪を破り、決勝戦で広陵高校を相手に奇跡の逆転劇を収めることができたのか?
著者の取材から、監督・部長と選手が人間味あふれるやり取り(ぶつかり合い)で、試行錯誤しながら信頼できるチームを作っていく過程が読み取れる。
そして、高校野球は、指導者の力と高校生個人の潜在能力もさることながら、やはりチームの力なのだと納得するのだった。

と書きつつ、それと対極の位置にある高校野球がある。
「弱くても勝てます」(高橋秀実著 新潮社)の開成高校野球部だ。
「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー [単行本] / 高橋 秀実 (著); 新潮社 (刊)

開成高校といえば、東大進学者数が日本一の私立進学高校だ。
その野球部は週3日、一回当たり3時間程度、狭いグランドで好き勝手に練習をしつつ、甲子園出場を目指す。
高校に入ってから野球を始めた選手や勉強の息抜きにバットを振る選手など、個人個人が自由気ままで佐賀北高のような緊張感はない。
開成高校の野球は、守備は二の次、打撃を重視し、試合前半で大量点を奪い、どさくさに紛れてコールド勝ちを狙うというもの。
どんなに強豪でも同じ高校生、連打で相手投手を怯ませたら、勝てないはずはないという偏差値が高い割には単純な作戦だ。
しかも、この作戦で東京都の大会のベスト16まで進出したこともあるのだ。
ここまで来たら、甲子園はもう目の前だ。
この本を読んでいると開成高校の甲子園出場も時間の問題だ(という気になる)。

今日も高校球児が甲子園で汗を流している。
筋書のないドラマが高校野球ファンを魅了する。
「熱闘甲子園」の長島三奈と工藤公康も興奮する。
このみんなが注目する甲子園に私も憧れる。
出場する方法はないか模索する。
そうだ!もう一度、高校生になれば出場できそうだ。
入学するなら、やはり強豪校を選ぶべきなのか、それとも選手の少ない無名校で頑張って予選を勝ち抜くべきなのか?
白状すると、過去に選手として野球をやったことはない。
でも、野球盤でのバットコントロールは、プロ並みとの評価を受けたことがある。
その実力を存分に発揮できれば・・・・・・・(と妄想しているうちに熱中症になりましたとさ。なんのこっちゃ) 

※もちろん高校野球出場資格に年齢制限があります。特例でも満19歳まで。
F生

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