今回は少し前に読んだ『Gene Mapper -full build-』について書こうと思います。
この『GeneMapper -full build-』という作品、何でもAmazonのKindleストアの「ベスト・オブ・2012」小説・文芸1位を獲得した電子書籍を加筆・修正して文庫化されたものだとか。電子書籍は買ったことがないですが、そんなに面白いのかな、と思って買って読んでみました。
表紙はこんな感じです(何で頭痛に悩まされているような表紙なのかはわかりません)。
あらすじは以下のような感じです。
20年ほど未来の2037年。農作物のほとんどが遺伝子を組み替えられた「蒸留作物」へと置き換えられつつある世界。
この蒸留作物、「遺伝子のスタイルシートを書き換えてマークアップする」というWebページのスタイルの変え方と似たような方法で遺伝子の組み換えが行えるようになっており、個々の作物だけではなく、畑や水田全体にロゴを描く、といったこともできます(スタイルシートだけではなく少々の工夫が必要ですが)。
また、この世界ではインターネットが封鎖され、代わりにトゥルーネットと呼ばれるネットワークが普及しています。さらにAR(拡張現実)技術が発展しており、仕事の打ち合わせもAR空間でお互いアバターを介して行えるようになっています。この辺はいかにもSFっぽいですね。
主人公の林田は蒸留作物のスタイルを設計する未来の新職業、スタイルシート・デザイナーの一人。
ある日、彼のデザインしたカンボジアで栽培中の稲「SR-06」で描いたロゴが崩れたという報がプロジェクト・マネージャの黒川から入ります。
キタムラというハッカーの助力を得て、インターネットからの情報も収集しつつ、林田と黒川の二人は原因を解明するために日本から現地へと調査に向かいます。
何となくアジアが舞台でバイオSF、ということで『ねじまき少女』とどことなく似ている気がしますがそれは多分自分の気のせいですね。雰囲気は全然違いますし。
この作品、公式サイトがあったり、サイトに作品内の技術についての解説ページがあったり、色々な電子書籍のフォーマットで販売していたりなど、マーケティングにもかなりの力を入れているようです。
内容が良いというのもあるでしょうが、それだけじゃなくて売り方にもこだわっているから成功したんだろうなあ、と思います。
……ところで、少し前は現実でもGM作物とかいって遺伝子組み換えが問題になっていた気がしますが今ってどういう状況になっているんでしょうか? 普通に使われているんでしょうかね?
気をつけようがつけまいがきっと口にはいっているとは思いますが。
K.U.