2024.06.21
mao

伊豆へ、いざ聖地巡礼

 「きらら系アニメ」というものをご存じだろうか。
 某社が出版している主に4コマ漫画をメインとした漫画雑誌「まんがタイムきらら」を出自・原作とするアニメのことで、一部のオタクたちに超絶大な人気を誇っている。昔でいえば「けいおん!」、最近でいえばぼざろの略称で一躍有名な「ぼっち・ざ・ろっく!」もこれにあたる。
 むろん、年間3桁にも及ばんとする数のアニメを嗜む私も例外ではない。きららのアニメはとにかく日常・青春の描写が丁寧で、女の子たちの織り成すキャッキャウフフなシーンも多く、安易な言葉を選ぶとすれば「えもーしょなる」な気持ちにさせてくれるのだ。私の妹氏もこのジャンルが大好きで、なんなら妹氏からの布教により私もこの沼に引きずり込まれたたちなのである。そんな私がきらら系アニメで特別大好きなのは「恋する小惑星(アステロイド)」や「きんいろモザイク」なのだが、それらと同じくらい好きなのが「ゆるキャン△」だ。

 とりあえず私のきらら語りはこれくらいにしておいて話を進めると、このゆるキャンは数年前に社会現象ともいえる一大キャンプブームを引き起こした、いわゆる『すげぇアニメ』なのであるが、2021年に放送された2期目の後半は伊豆が舞台となり、大きな聖地巡礼スポットが誕生した。
 そこで私と友達の約2名は2024年2月から3月にかけて、聖地巡礼を兼ねて伊豆を堪能するという旅を敢行することにした。実のところは東北の銀山温泉を訪問したあとの伊豆探訪なのだが、銀山温泉についてはまた別の機会に触れるとしよう。

セットリスト

1.大室山
2.大瀬崎
3.堂ヶ島のトンボロ
4.龍宮窟
5.爪木崎
6.下田バーガー
おまけ.南伊豆の夕日


1.大室山

 3月1日、東京から特急踊り子号を使って伊豆へ突入した私たちは、終点の伊豆急下田駅近くのそこそこなホテルで1泊したのち、3月2日と3日に本格的に巡礼する計画を実行することにした。
 今回は友達の運転によるレンタカーを駆使し、1日目は伊豆を下田から反時計回りに回ることにして、2日目は下田周辺を討伐することにする。そうすると上記リストのような訪問順になる。伊豆高原にも訪れるべきだったが時間的に足りなかったのでこれは諦めた。旅行は取捨選択が大事なのだ。

 さてそんなわけで、伊豆の東側を北上し大室山を目指す御一行。ゆるキャンといえば水曜どうでしょうリスペクト作品なので、フロントガラスに黒字のぶっといテロップを出しながら友達と雑談しタイヤを転がす(分かる人は分かる())。

 下田からおよそ1時間、国の指定天然記念物である大室山に到着。
 大室山の入り口には2階建てのお土産屋さんを備えたリフト乗り場があり、このリフト乗り場からリフトを使って頂上へ上がる。写真を見てお分かりいただけるかもしれないが、リフトがかなーり急で、高所恐怖症の方は少なくとも上っている間は下を見ると卒倒する。
 頂上では大室山の大きな看板と、東伊豆を360度見渡せる圧倒的眺望がお出迎え。この日は曇っていたこともあり富士山は見えなかったが、晴れていれば看板の先にアニメ同様富士山を北に捉えることができる。

 ちなみに私は富士山運がなく、一昨年箱根を訪れた際も(梅雨時期だったこともあり)曇っており、間近にあるはずの富士山を拝むことはかなわなかった。
 とはいえ、曇っていたとしても伊東方面の街並みを見下ろす景色や遠くに見える伊豆大島、伊豆の中央を突っ切る山々の眺望は圧巻。2024年は河津桜がかなり早かったこともあり桜はほとんど終わってしまっていたが、運が良ければ街並みを縫うように咲く鮮やかなピンクの花々を、アクセントとして楽しめるかもしれない。

▲左手は緩やかな崖になっている

▲麓では桜が1本だけ生き残っていた


2.大瀬崎

 伊東から伊豆半島の付け根と沼津を経由し、伊豆半島の西側へ一気に抜ける。狭く曲がりくねった西伊豆の北海岸線沿いの道路を対向車に気を付けながら通ると、アニメで志摩リンが1人で訪れたポイントである大瀬崎にたどり着ける。

▲くねくねした海岸線沿いの道路を進む

▲大瀬崎のビーチ、風光明媚なポイントだ

 大瀬崎の有料駐車場で車を止め、涼しい風の吹く北伊豆の地に降り立つ。過ごしやすくスポーツ日和の気候であったためか、ダイバーたちが大勢集まってビーチで準備をしていたのが印象的だった。時間的にはもうランチ時も過ぎ、付近の、ラブライブのポスターを店頭に貼り付けた飲食店は概ね店じまいをしているようであった。
 地図で見てもらうとわかるのだが、大瀬崎は非常に小さな半島が湾に向けて突き出たような形をしている。大瀬崎にある神社の鳥居から大瀬崎を撮影すると、突き出ている様がよくわかる。

 大瀬崎にある池では大量の鯉が生息している。神社で鯉の餌を買うとこちらもアニメのとおり、大量の鯉が群がってバシャバシャと大きな音を立てて餌をせがむさまが見れる。
 個人的に鯉の餌やりは謎の優越感が得られて好き(正直)なので、例えば豊川稲荷や津和野など鯉が生息しているところではだいたいこのイベントをこなすのであった。

▲気分だけ上級国民

▲景色も非常に良い


3.堂ヶ島のトンボロ

 次の目的地へ移動するため、大瀬崎から西伊豆の海岸線を南下する。
 これだけ書くとさぞ気持ちのいいドライブのように聞こえるだろうが、実態はそんなことはなく、西伊豆の山道をくねくねくねくね頭文字Dのごとくタイヤに大きな負荷がかかるようなテクニックを魅せながら、まぁさすがにそれは嘘だが、とはいえ急ハンドルを切らないと曲がり切れないカーブが怒涛のように押し寄せるのは事実で、中間地点の旅人岬に着くころにはすっかり運転者すら車酔いに苛まれてしまうくらいの疲労感であった。

▲旅人岬で小休憩

 外の空気を吸って少しばかり体力を回復した私たちは引き続き南下を続け、大瀬崎からおよそ1時間半で堂ヶ島のトンボロが見れる瀬浜海岸へ到着。
 トンボロというのは、干潮時に海が割れて道ができること。文字どおりの神秘的な現象の1つで、その美しい景色はもちろん、陸と島の間を駆け抜ける強い風を体感でき、波の押し寄せる大きな音が両脇から迫ってくる映画館のような迫力もまたすごい。まさしく、五感で楽しめるポイントなのだ。

▲島へ続く道が現れている、これがトンボロ現象

 私たちが訪れた際はもう既に潮が満ち始めており、対岸の島へ渡ることは難しかった。もう少し時間を的確に狙えば――私たちの場合はもう少し早い時間に訪れることができれば、アニメと同じく対岸に渡ることができたかもしれない。

▲聖地巡礼スポットの紹介看板

▲瀬島海岸から見える、伊豆の険しい地形

▲波がすぐ近くまでくるところもあるので攫われないよう、安全第一で


4.竜宮窟

 日付は変わり3月3日。この日は下田周辺を攻略してから東京へ帰陣するという旅程である。
 まずは下田の南にある竜宮窟へ。ここはアニメでは志摩リンが大瀬崎から峠を越え訪れたポイントである。駐車場が狭いので、なるべく早い時間に訪れておくのが吉。
 駐車料金500円を払って、洞窟へ通じる、洞窟の湿気で滑りやすくなっている階段を下りていく。

▲アニメと同じ構図(のはず)

 階段を降り足元を見ていた顔を上げてみると、なんとも優美な景色が飛び込んできた。
 太陽の光がちょうど入り江に差し込んで、光芒が七色を演出するまさしくゴールデンタイム。トンボロのときとはまた違う静かに入り江に流れ込む波の音が、いっそう幻想さを際立たせるよう。
 下田から程近いところでこんな美観が拝めるとは・・・いいものを観させてもらいました。

▲光芒が美しい

▲太陽の光を入れないとこんなかんじ

 ちなみに竜宮窟は上から眺めることもできる。洞窟そばの階段を上っていくと、この入り江を俯瞰できるポジショニングが取れる。見下ろしてみるとなるほどハート形になっていることがなんとなくわかる。いわゆるカップル向けのパワースポットだとでも言ってあげようか。

▲ハートの右側に入ることはできない


5.爪木崎

 下田の市街からなだらかな丘陵地帯に造られた住宅地を南東へ縫うように走ると、爪木崎に到着する。
 有料駐車場に車を置き、太平洋に目を向ける。写真ではうまく伝わらないかもしれないが、まるで沖縄の海のような鮮やかなエメラルドグリーンに彩られた美しい海がそこにはあった。
 遠くに見える灯台による遠近感はもちろんのこと、広大な砂地は過去に何かしらの大きなイベントを行っていたであろう栄枯に黄昏ることもできる。観光客はほとんどおらず静かなものであった。これはかなりの穴場スポットではなかろうか。

▲爪木崎、地味ながら指折りの絶景ポイント

 灯台に向けて歩を進めると、これまた青い惑星の神秘を感じられるような絶景が。それもそのはず、この爪木崎のある須崎半島は、地球の活動により海底から姿を現した海底火山の名残が色濃く残るポイントなのである。

▲美しい青色の海が印象的

 天候にも恵まれ、雲一つない快晴の空。
 水平線がくっきり見える絶好の日和のなかでは岬にひとり立つ真っ白な灯台はよく映え、なんとも心奪われるような、まさしく絵になる風景が佇んでいた。

▲爪木崎の灯台


6.下田バーガー

 さて、本ブログの最後に紹介する聖地巡礼は食べ物である下田バーガー。漫画およびアニメでは名前自体は若干変えられていたが、実際にお店ではゆるキャンの漫画のコマが貼られており、聖地巡礼スポットの一つであることを暗に示していた。

▲道の駅 開国下田みなとに併設されているカフェ

▲聖地巡礼には欠かせないポイントの一つ

 ここで頼むのは先ほども言及した下田バーガー
 これは金目鯛を使った絶品バーガーで、なにかに例えようとすると近いのは某ファストフード店のフィレオフィッシュなのだが、パンもやわらかく、シャキシャキレタスなども加わり、また違った味わいが楽しめる至高の一品なのである。
 ちょっと風が強い中ではあったが美味しい空気を吸いながら食べたかったので外のテーブルにつく。金目鯛のフライが陽の光に照らされて輝き、まるで「私は美味ですよ」と訴えかけているようで。映えは特に意識しない写真を撮影してからはもうあっというま、バーガーをむさぼるように一瞬で食らい尽くしてしまった。

▲下田にきたからには是非ご賞味あれ

 旅行先でご飯の値段を気にするなんて私は野暮だと思っているが、いちおう書いておくと、本バーガーは1300円であった。


おまけ.南伊豆の夕日

 最後に、3月2日の夕方に訪れた石廊崎近くの夕日絶景ポイントでの夕日を載せておくことにしよう。
 本当は伊豆最南端の石廊崎に訪れる予定だったが、どうやらここは夕方の早い時間には閉めてしまうようで、夕日の時間にはもうチェーンが施され入れない状態であった。(物理的には入れたけど)
 本来見ようと思っていた夕日ポイントで夕日が見れないとなると果たしてどうしようかと悩んでいたところであったが、すぐ近くのユウスゲ公園で夕日が見れるらしいことが判明。違法にならない範囲で急ぎ、無事日の入り時刻に間に合ったのであった。

▲天気がよかったので夕日も綺麗に撮れましたィエィ

 そんなかんじで、2泊3日の伊豆聖地巡礼旅行は満遍なく、ほぼ完璧に堪能することができた。
 旅程というのは基本崩壊するものなのだが、パズルを埋めていくときに次から次へピースが嵌っていくような、思い出してこれを書いていてもそういう快感が得られるくらいには上手くことが運んだなという旅路であった。
 その代わり、この次の四国周遊旅行は大荒れの天気であったが・・・。結局天気は神様の気まぐれ次第なのだ。

 最後に、下田の道の駅にあったゆるキャンのキャラクターパネルを載せて終わりにしよう。


mao

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