はじめに、あるいは また私は如何にして心配するのをやめて以下略
漫画のエントリしか書かないことで定評のあるおじさんです。田河水泡、杉浦茂、島田敬三あたりから始めて今に至るまで、漫画の持つ魅力に取り憑かれ続けています。近年は作画技法の向上に伴って原作、ネーム、作画の分業体制ができるようになってきて、ますます作品としての完成度が上がってきている気がします。それに伴うように従来の雑誌社の漫画賞から離れて、一般的なファン投票で決まる漫画賞の「次にくるマンガ大賞」や年末恒例となった「このマンガがすごい!」、本屋さんが選ぶ「マンガ大賞」といった色んな賞にノミネートされることで認知度が上がったり、メディアミックスにつながったりといわゆるクールジャパン的な動きにつながったりしてます。
まあそんなこととはお構いなく個人的におすすめしたい作品を雑に並べて称えるエントリです。
WEB部門
- 頂のリヴィーツァ 山座一心著
コミックDAYS連載。もともとインディーズの「リヴィーツァ家の家庭教師」という一連のややインモラルな作品を下敷きに商業化した作品なんですが、インモラルな部分は変わらずにヤバさだけがアップして自重しろみたいなインディーズ時代より読む人を選ぶ作品になっている気がします。漫画はフィクションなので徹底的にやってよしという凄みを感じる。2巻まで出てるのでアホみたいに売れて打ち切り回避してくれ頼む。
- 三咲くんは攻略キャラじゃない ナツイチ著
近年ジャンルを築きつつある男の子が可愛い漫画。同時多発的にあちこちから連載が始まっていてどれもリビドー満載の良い作品が多いんですが、三咲くんはくらげバンチ連載で1巻が7月に発売されています。ギャルゲーの友達ポジションの三咲くんがとても可愛いので、主人公がなんとかして攻略したいという思いをコミカルに描きつつ、本来ヒロインのキャラが脇に回っておかしなムーブになっているシナリオ改変物としても楽しい快作。こちらももともとインディーズからの読み切り連載>連載>単行本化ときているので、この勢いでアニメ化まで突き進んでほしい。
- 炭鉱ドワーフめしをくう 四方井ぬい著
マトグロッソ掲載作品。マトグロッソの知名度どれぐらいあるんだろう。ノスザクロとか載ってます。なんか普段土しか食わない炭鉱ドワーフが飯を食ってうまい顔をする物語。かわいい。可愛い絵と物語なんだけど、実際一人で炭鉱潜って鉱石拾ってきてって割と死と隣り合わせな生活な割にはノンビリしてるよね。ご飯食べたときのリアクションがいちいち可愛くてほっこりしてしまう。強く生きて。
雑誌掲載部門
- このままモブじゃ終われない 優しい内臓著
フェチ全開の初同人作品がこの間出たところなんですが、きららキャラット連載のこちらの作品はまったりとしつこくなく、それでいてやはり闇が浅くて深くてとても心地よい。前作の死神ドットコムも推せる作品だったんですが、今回はクズ度は変わらずフェチ度はやや増なのになんか読みやすくてすごい。どうか健やかにこのままお過ごしください。
- エイティエイトを2でわって 有馬著
きらら系しか読んでないんかと言われたら大体そんな感じです。こちらはMAX掲載のズンドコ連弾ピアノ漫画です。はんどすたんどとか結構前からきららで描いてる人なんですが、今回の連載は今までの勢いを止めることなくズンドコ突き進んでいく感じがとても音楽を主題にした漫画とは思えない謎のパワーを感じておすすめできます。
最後に
エントリ忘れの作品たち。魔法少女と普通の軽音部は最終エントリに残っちゃいましたね。
WEB漫画隆盛の昨今、雑誌掲載のほうがマイナーなのではという気分になってきているけど、実際はジャンプ連載あたりが最高峰なのかなあ。2024年末にはどのような新星が飛びてて、このマンガがすごい!にどんな作品が選ばれるのか、ちょっと楽しみ。今回推した作品ほとんどノミネートにかからなかったので、なんの参考にもならなそう……
samai