数か月前に読んだ『脳のはたらきのすべてがわかる本』に「運動を抜きにして脳は存在しない。だから植物には脳がない」と書かれていてハッとさせられました。言われてみれば確かにその通りですが、これまで深く考えたことはありませんでした。
たとえば、動くことのできる動物であれば、
というプロセスを通して生存につなげることができます。しかし、動けない植物が五感と脳だけを持っていたとしても、
あるいは、
といった具合に「考えること」自体が無駄になってしまいます。むしろ、恐怖やフラストレーションを感じる分だけ、かえってマイナスなのでは?とすら思ってしまいます。
酒の肴として知られるホヤは幼生期には脳や神経系を持ちます。この段階では自由に泳ぎ、岩に固着する場所を探すためそれらを活用します。しかし、一度岩に固着すると、動く必要がなくなるため脳や神経系は「不要」となります。そのため、自らそれらを消化して栄養源として利用し、最終的には脳がなくなってしまうそうです。
この事例は、脳と「動くこと」が密接に結びついていることを象徴的に示しています。脳は「動くためにある」とも言えるのではないでしょうか
運動といえば、走ったり飛んだりといった典型的な動きを思い浮かべます。しかし、話すことや書くこと、笑顔や泣き顔を示すことも筋肉を使った立派な「運動」です。そう考えると、脳は「考えるため」よりも「外界へリアクション(アウトプット)するため」に存在しているのかもしれません。
考えるだけで終わらず、行動に移す――そんなことを強く意識させられた本でした。
JacKal