レーシングカートをやっていると、レース全体の流れってスタートの数秒でだいぶ決まるなと感じることが多いです。
速い人が勝つのは当たり前なんですが、「スタートの仕掛け方」ひとつで、速さ以上に差をつけられることがある。逆に、ちょっとしたミスや判断の遅れで、レースが台無しになることもあって。カートはシンプルだからこそ、そういう細かいところがめちゃくちゃ影響してきます。
スタートでまず重要なのは、自分と周りのギア比の傾向を把握すること。たとえば、相手が「ロング」寄りのセッティング(=伸び重視)だったら、低速からの加速が若干鈍くなります。
そこに「ローリングスタートのスピード」がどう組み合わさるかがポイント。ローリングが遅ければ、ローギア側が有利になるし、速ければ逆に不利。ここを読み違えると、加速で一気に抜かれたり、逆に引き離せたりもします。
あとはちょっとしたテクニックとして、「幅寄せ」という動きがあります。スタート直後に、相手の進路をじわっと制限するようなライン取りをして、選択肢を減らして主導権を握る。もちろん危ない動きにならないように注意は必要ですが、うまく決まると、後続のマシンがバトル状態になってくれて、自分が前で楽になることもあります。
スタートで勝つには、単純な反射神経とか技術よりも、「どれだけ事前に相手を観察しておけたか」「その場で柔軟に判断できたか」がめちゃくちゃ大きいです。
ローリングスピード、他車のギア傾向、グリッド位置、前後の空間…そういう要素をその場でパッと読み取って、どう動くかを決める。この瞬間の駆け引きがたまらなく面白い。
皆さんもぜひ、レーシングカートに挑戦してみてください。
アイルトン・セジ