2025.07.07
F生 一般

謎と秘密

暑い・・・

今年は6月から異常に暑い。
なぜこんなに暑いのか。
これは一般に地球温暖化と呼ばれている現象なのか?
そして、このまま進行していくのか?
「謎」だ。
その原因も「秘密」のベールに包まれたままだ。
ということで、謎と秘密のお話(むりやりな展開)。

国名シリーズをコンプリート

国名シリーズの全作品を読了した。
「国名シリーズ」とは、アメリカの作家エラリー・クイーンが書いたタイトルに国名が入った一連の推理小説作品のことだ。
最初は中学生の頃に読んだ「ローマ帽子の謎」だった。
その後、数年に1冊くらいのペースで読み進め、今年1月に「スペイン岬の秘密」に辿り着いた。

シリーズは以下の9作。
「ローマ帽子」「フランス白粉」「オランダ靴」「ギリシャ棺」「エジプト十字架」「アメリカ銃」「シャム双子」「チャイナ蜜柑」「スペイン岬」。
ローマやシャムは国名なのか、というご意見は別途検討することとして、ここでの問題はその題名だ。

日本ではこのシリーズはいろいろな出版社から提供されてきた。
主なところでは、東京創元社(創元推理文庫)、早川書房(ハヤカワミステリ文庫)、KADOKAWA(角川文庫)など。
そして、その題名は東京創元社では「・・・の謎」、早川書房とKADOKAWAでは「・・・の秘密」なのだ。
原題は「・・・Mystery」なのだが、なぜそれが「謎」と「秘密」に分かれてしまったのか。。。謎だ。

国名シリーズの特徴

国名シリーズの特徴は、作者と同名の名探偵エラリー・クイーンが各作品で提示される謎(たいていは不可解な状況の殺人事件)を論理的に構築した推理によって解明していくというもの。
(ちなみに「スペイン岬の秘密」で提示される謎は、岬の先端にある豪邸のテラスで発見された死体はステッキを持ってマントを着ていたが、マントの下は全裸だった。。。なぜ? というもの)

探偵エラリーは解決の直前に必ず「読者への挑戦状」で、犯人当てを強要してくる(読者は名探偵じゃないから、分かるわけないじゃん。でも、例外として「シャム双子の秘密」には挑戦状はない)

国名シリーズは面白いのか

国名シリーズは推理小説の古典として、今も版を重ねているが、果たして面白いのだろうか。
約半世紀に渡って9作品を読んできた感想を正直に言うと、昔読んだ作品の内容は覚えていない(えっ!)。
最近のミステリーと比べるとどうしても設定が古いし、展開も地味なところが多い。
うろ覚えの中であえて言うなら、「エジプト十字架の秘密」が面白かったような記憶がある。

国名シリーズの秘密

実は、昔の創元推理文庫に「ニッポン樫鳥の謎」という作品があった。作者はもちろんエラリー・クイーンで、国名シリーズの一冊だったと記憶している。
しかし、今では絶版で、そもそも国名シリーズに含まれないというのが、世界的な認識だ。
それはどんな作品だったのかは不明だ、と書こうとしたが、実は昨年角川文庫で新訳版が発売されていた。
題名は「境界の扉」。
国名は入っていない(ただし副題として「日本カシドリの秘密」とある)。
作中に「読者への挑戦状」もない(この本の前に出版された作品「中途の家」には「読者への挑戦状」があるとのことだが、未読)。

これから国名シリーズを読む人へのアドバイス

現在流通している国名シリーズはすべて新訳版で、言い回しが現代的で非常に読みやすく、わかりやすいのでお薦め(自分ももう一度読み直そうかと思ってる。記憶に残っていない作品を)。

日本の推理作家 有栖川有栖(ありすがわありす)も国名シリーズを出している。
こちらはもともと日本語なので読みやすい。
「ロシア紅茶の謎」「スウェーデン館の謎」「ブラジル蝶の謎」「英国庭園の謎」「ペルシャ猫の謎」「マレー鉄道の謎」「スイス時計の謎」「モロッコ水晶の謎」「インド倶楽部の謎」「カナダ金貨の謎」「日本扇の謎」の全11作(今後も続刊が出る可能性あり)。
有栖川氏は、上記リストのとおりエラリー・クイーンが書かなかった国を選んで作品化している(ということは「日本カシドリ」はクイーンの国名シリーズとして認めていないのですね)。
そして、題名はすべて「秘密」ではなく「謎」だ。

それにしても暑い・・・

アメリカと中国の作家が書いた風変わりなSF短編集「謎SF」も紹介したかったが、あまりに暑く、イノチの危険を感じるので、もうやめる。
もし、興味があれば最初に掲載されている「マーおばさん」だけでも読んでみてほしい。
(コンピュータの試作機のテスターである主人公が「ケースを開けるな!」と書かれた不思議な試作機のテストを開始する。その機器は生成AIのハシリのようなマシンで、砂糖を原動力にしている!?その秘密とは・・・)

というわけで、続きは涼しくなってから。

F生

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