2025.07.18
Jackal

アリの社会

アリってあんなに頭(脳)が小さいのに、うまいこと集団生活してるってすごくないですか?
彼らにはエサ集めや女王や卵の世話(卵はとても弱く、すぐに菌に侵されてしまうので、常に舐めて抗菌作用のある唾液をつけておかないとダメらしい)、壊れた巣の修繕などいろいろな仕事があるのですが、うまいこと協力しながら手際よくこなしています。
有能な上司がいていろいろ采配を振るってくれるわけでもないし、電話もインターネットもないので、いつでも「コミュニケーション不足」といえるような状況なのに。

それでも集団としてうまく機能しているのは、「反応閾値」という仕組みによるものだそうです。

反応閾値というのは、刺激に対して反応を起こすために必要な刺激量の限界値のことです。
この反応閾値には個体差があるので、ある仕事に対してすぐ反応する「腰の軽い」アリと、なかなか動かない「腰の重い」アリが集団の中に一定割合で含まれることになります。
「腰の重い」アリたちは、忙しくなってこないと働き出さないので集団の中に「怠け者」がいるように見えるのですが、そういうアリたちがスタンバってることで、巣が急に崩れるといった突発的な事態にも、自発的にうまく対応できるわけです。
難しい管理なんてなくても、このシンプルな仕組みだけで、必要なときに必要な数のアリが自然と集まるようになってるんですね。

人間だったら「なんで自分ばかり働かなきゃいけないんだ」と不満を抱く人が出てきそうですが、アリにはそういった「余計な知能」がないからこそ、このシステムがうまく回っているのかもしれません。

『働かないアリに意義がある』という本には、ここうした話のほかにも、「本当に働かない悪いアリ」の話や、「アリの世界におけるオスの悲しい扱い」の話など、興味深いエピソードがたくさん載っています。

薄い本なので興味がある人は読んでみてください。

Jackal

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