2026.04.22
MRT

「正解」と「正義」

みなさんは日々の業務の中で、「正しいはずなのに、なぜかうまくいかない」と感じることはないでしょうか。
さまざまな業務を担当する人が集まる組織の中で、それぞれの立場で考えれば筋が通っている判断なのに、なぜか噛み合わない。結果として、チームの雰囲気が悪くなったり、プロジェクトの進行が滞ったりする。

私自身、複数の案件を並行して進める中で、こうした場面に何度も直面してきました。
今回は、その原因になりやすい「正解」と「正義」のズレについて、実務の中で感じていることを整理してみたいと思います。
(あくまで私の勝手な見解です)

「正解」と「正義」は何が違うのか

まずはシンプルに整理します。ここでは言葉の定義を以下とします。
  正解:論理的に正しいこと(効率、コスト、成果など)
  正義:その人が信じている価値観(経験、立場、信念)
この2つは似ているようで、実はまったく別物です。
そして重要なのは、正義は人によって違うんだという点です。
それぞれの役割ごとに「守るべきもの」が違う以上、正義がズレるのは自然なことでもあります。

極端な話ですが、ヒーローとヒールでもそれぞれの“正義”があります。

ズレが起きる典型パターン

このズレは、特別な場面ではなく日常的に起きています。

役割のズレ

  A担当:「このタイミングを逃すと機会損失になる。まずは提出すべき」
  B担当:「この状態で提出するのはリスクが高い。品質を担保すべき」
どちらの言い分も理解できますし、どちらも間違っているとは言い切れません。
実際、顧客側の事情と、品質担保の考えがぶつかる場面は少なくありません。

スピードと品質のズレ

  Aさん:「まず提出してから改善していこう(スピード重視)」
  Bさん:「ちゃんと作ってから出すべき(品質重視)」

これもよくあるパターンです。
「どこまでやるか」の判断が人によって違うんでしょうね。

ルールと例外のズレ

  管理側:「ルール通りに進めるべき」
  現場側:「今回は例外対応が必要」
現場のスピード感と、組織としての統制。
どちらも必要だからこそ、衝突が起きます。

なぜズレるとよくないのか

問題は、ズレそのものではないと思っています。
ズレを放置したときに起きる気持ちの変化が問題なのだと思います。

  • 「相手が間違っている」という認識が強くなる
  • 会話が“歩み寄り”ではなく“否定”になる
  • 徐々に協力しなくなる

こうして起きるのは「対立」というよりは、「サイレント断絶」です。
表面上は会話していても、本質的な連携が取れなくなり、結果として成果にも影響が出始めます。

で、やっちゃいがちな「あるある」

この問題に対して、ついやってしまいがちな対応があります。

  • どちらかを「正しい」と決めて押し切る
  • 上位者が一方的に判断する
  • その場の空気でまとめる

一時的には収まりますが、根本的な解決にはなりません。
むしろ、「自分の考えは尊重されなかった」という感情だけが残り、次のズレを大きくする要因にもなりかねません。

では、どうすればいいのか?

ポイントは、「正解」と「正義」を分けて考える事かと私は思います。

① 正解と正義を分けて認識する

「それは正しい。でも別の正義もある」と認識する。
相手を認める。これだけで、議論の前提が変わるかなと。

② 目的を揃える

「何を優先するのか」を明確にする。

  • 今回は売上を優先するのか
  • 品質を優先するのか
  • 長期的な関係性を優先するのか

案件ごとに目的を揃えない限り、そりゃ議論は噛み合いません。

③ 判断軸を明確にする

「今回はどの軸で判断するか」を決める。

例えば、こんな感じ。

  • 今回はスピード優先
  • 次回は品質を担保する前提で進める

ここで大事なのは、どちらかの正義を否定しない。
正義は複数ある事を認めたうえで、「今回」は「この軸」で判断しよう!と明確にするのが大事かなと。

まとめ

  • 正解は一つ(ベストではなく、ベターな事が多い)でも、正義は複数ある
  • ズレは自然に起きるものであり、悪ではない
  • ズレを放置するのがよくない

大切なのは、「どちらが正しいか」を決めることではなく、どう折り合いをつけるかだと思います。

そしてもう一つ。

自分自身がどちらかの正義に寄りすぎていないか。
少し立ち止まって考えてみることも、チームを前に進めるためには必要だと思います。

と自戒も込めて。

MRT

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