2011.02.17
F生

「世紀の空売り」

リーマン・ショックから2年以上経過しましたが、まだ世界経済はピリッとしません。
ワタシの経済も相変わらず火の車です(これはリーマン・ショックとは全く関係のない恒常的なサラリーマン・ショックです ← ボケが雑)。

世間では、この2年の間、都合が悪いことが起こると、すべてリーマン・ショックのせいにしてきました。

景気が悪い、大企業が赤字決算をした、税収が減った、就職難だ、給料が下がった、血圧が上がった、太った、すべった、転んだ、解散だ、強制起訴された、昼は毎日牛丼だ、ときどきカップ麺だ、おごってくれるならどこにでも呑みに行く等々、キリがないので、もう止めますが(字数稼ぎもできたし)、なにもかもリーマン・ショックのせいにして思考停止しているのです。

しかし、その諸悪の根源である「リーマン・ショック」って、なんだったのでしょう?
みなさんは知っているのかもしれませんが、ワタシはわかっていませんでした。

そこで、この「世紀の空売り」(マイケル・ルイス著 文藝春秋社)を読んでみました。
巨人の長嶋のデビュー戦じゃないですよ。あの4打席4三振は「世紀の空振り」です(←やっぱり、雑)。
世紀の空売り [単行本] / マイケル・ルイス (著); 東江 一紀 (翻訳); 文藝春秋 (刊)

この本は、2000年代のアメリカの住宅好景気を、誰よりも早くバブルだと気づき、そのバブルがはじける方にお金を賭けて大儲けをした3人(正確には1人と2つのグループ)を描いたノンフィクションです。

アメリカの投資銀行(ゴールドマンサックスやリーマンブラザーズなど)がつくる複雑な金融商品(ここでは住宅ローンを担保とする債券とその派生保険商品など)に、格付機関(ムーディーズやスタンダード&プアーズ)が中味も確認せずにトリプルAを付け、財務当局も政府もそれを規制せず、成り行きのままバブルを膨らませ、そして2008年に大破局(リーマン・ショック)を迎える。
バブル崩壊に賭けた3人は大儲けするが、実は破局した投資銀行のトップ達も大金を手にしていた。
金融機関破綻のツケはアメリカ政府が血税を使って支払い、徹底した原因究明もされないまま、終息していく。

3人は、それぞれ金融の腐敗を暴き、正義を実現するという志を持って、「世紀の空売り」の大勝負に出るが、実際の大破局(=大儲け)を目の当たりにして「ノアの方舟」の船上の人の苦悩と虚無感を味わうのだった・・・。
(以上、かなり適当な要約)
本の説明は難しいですね・・・。

ちょうど今「ウォール・ストリート」という映画が上映されています。
こちらはフィクションですが、リーマン・ショックを背景にした熱血金融投資復讐恋愛家族映画で、ヴィジュアルな分、本よりわかりやすいと思います。

「ウォール・ストリート」

この映画で、主人公の母親は普通の看護師にもかかわらず、住宅の転売に手を染め、バブル崩壊直前には5件もの住宅ローンを抱え、クビが廻らなくなっています。金融という虚業での金儲けに足元をすくわれてしまうのです。

このエピソードだけでも、アメリカのバブル期の無軌道な金融を如実に表しています。

さて、脈絡もなく書いてきましたが、この文章の結論としては、
「地に足をつけて地道に生きていきましょう!!」
ということではありません。

ワタシもアメリカと同じ詐欺まがい(!)の日本のゆとり返済方式の住宅ローンに嵌り、日々の生活に困っております。
この沈没しかけた蟹工船・脱線しかけた苦役列車から逃れたいのです。

絶対儲かる債券があったら、誰かこっそり教えてくれませんか・・・・・・という切実なお願いが、結論なのでした。(ケジメ)

※本「世紀の空売り」、映画「ウォール・ストリート」、どちらもお薦めです。

                                                                   F生

一覧に戻る