2011.10.11
yna

アマゾン「Kindle Fire」は、日本にも電子出版を広げることが出来るか

 自炊という言葉を知っていますか?
 独り者が自分で料理を作る事ではありません。持っている本や漫画を分解して、コンピュータにデータとして取り込みこんで、iPodやパソコンで読むことです。
 「出版大崩壊」という本に紹介されていたのですが、昨年iPodが発売されてからこれが流行っているそうです。本来は個人使用が目的なのですが、昔流行ったナップスターやWinnyのような交換ソフトで、ネット上を駆け巡ることになります。事実発売された雑誌が次の日にはネット上に流れるそうです。こうなると、iTuneStoreのように新しいビジネスモデルを構築できなければ、出版というビジネスモデルの崩壊は防ぐことが難しいでしょう。

 日本では出版社の既得権益に縛られて電子出版がうまく行きませんでした。
 理由のひとつには、電子化されることで、コピーされることを恐れて出版社が及び腰になっていたことあります。一方で電子機器を作成しているメーカーには、著作権とユーザーの求める利便性をバランスしたビジネスモデルを構築できないことも原因でした。
 そしてこれが一番致命的なのですが、出版社もメーカーも、コシューマー・ジェネレーテッド・メディアであるインターネットというビジネスモデルを理解できないことにあったと思います。

 アマゾンは本を売る小売業者という側面と、インターネットビジネスの業者としての側面を持つ稀な企業です。このため「Kindle Fire」は、コンテンツビジネスとインターネットビジネスの両面を理解したビジネスモデルになっています。

 端末自身では利益を得なくても、コンテンツビジネスで営利を得ることを考え、価格は199ドルと非常に抑えた価格になっています。
 コンテンツリーダーとしての用途に絞ったため、GPSもカメラもありません。ネットにアクセスできますが、アマゾンにアクセスして本を買ったり、これは本を紹介しているサイトにアクセスして、イイネをつけたり、ちょっとした書評を書ければいいという程度でしょう。(Andoroidベースですので、アプリケーションも出るでしょうが、本筋ではないと思います)
 もうひとつ特筆すべき点があります。WiFiでのアクセスを前提にして、アマゾンのオンラインショップで購入した本はアマゾンEC2のサイト上に置くようにしてあることです。これにより、無制限にコピーされるような危険性を防ぐことができます。

 昨年はiPodの登場で電子出版元年と騒がれましたが、来年くらいにはアリーアダプターだけでなく、キャズムを超えてアーリーマジョリティに、電子出版が普及するのではないかと、期待しています。

yna

一覧に戻る