2013.03.07
yna

たまには毒書、、もとい読書など

さっさと不況を終わらせろ

https://www.amazon.co.jp/_/dp/4152093129

安部政権になってから言われるようになった「アベノミクス」なんかの考え方の元になっているというポール・クルーグマンの本。経済学の本ということになっているけど、数式とかが出てくるわけでなくて、グラフが出てくるだけで、まあ、普通の読み物として読める本です。

アベノミクスの3本の矢と言っているけど、最初の2本の矢、金融政策と財政政策を進めるべきだとした主張のベースになっているようです。
経済というは、通貨の量とその回転率で表されます。(そういえば、これって高校生のころの教科書に載っていたけど、いまでもそうなのかな?)
バブルというのは、貸したお金が返ってくることを前提(これを信用というのだけど)に、さらにカネを借りてさらに物を作ったり、カネを貸したりすることを続けて、実際以上に経済が膨らむことです。

じゃあ、バブルがはじけるとどうなるかというと、本当は返ってくるお金でも返ってこなくなるなんじゃないかと、疑心暗鬼になって金を回収するようになってくるのですね。そうすると、お金がお金を生むという状況がなくなり、回転率が悪くなるのですね。

バブルが弾けたのが、サブプライム問題。

一旦失った信用を回復して、回転率を上げることは、簡単には出来ません。そこで何をするのかというと、通貨を大量に供給して、総体の経済をしぼませない努力する必要があります。そこで各国がとった処理が、通貨量を増やして経済の落ち込みをカバーするという政策です。

これが簡単にいうとリフレ派という言われる人々の主張。アメリカやヨーロッパは行ったけど、日銀はかなり及び腰だったので、貨幣供給量の比によって円高になったといわれています。

クルーグマンの主張を読んでいると、これだけじゃあダメなんだと言っている。誰かが仕事を作り出して、需要を作り出すことをしないとダメだということです。需要があれば、ちゃんと仕事をしてカネを返してくれそうだと思うわけです。そうすると、原料を売るほうも掛売りにしたり、銀行もカネを貸したりとしてくれます。

ところがさらにデフレになると、どうなるかと言うと、企業は儲からないから、新しい投資を行うという気持ちがなくなるですね。イノベーションが続いている業態なら、新しい技術を開発しないと競争に負けるのである程度の投資は行います。しかしイノベーション起きないような業態(例えば農業や建築業なんか)では、むしろひたすらお金使わないようにすることが、物価が下がっていくのですから、理にかなった行動ということになります。

政府が最後の需要家として、需要を作り出さない限り、お金の回転率が上がることはないと言っています。昔懐かしいケインズ的な考え方ですね。

クルーグマンの著作を読むと、歴史的に見て、規制緩和は所得の格差を広げることになるけど、経済の拡大には繋がっていないと看破しています。むしろ金融業界に対して適度な規制を行うことが、金融の暴走を止めると言っています。実際アメリカでは、大恐慌以降絶えて無かったバブルとその崩壊が、レーガノミクス以降10年に一回くらいの頻度で起きています。ブラックマンデー、ITバブル、サブプライム、リーマンショック・・・・。

PS.

最後に、月曜日(3月4日)の日経WBSの安部総理のインタービュー。安部総理は、新しいイノベーションの起きる分野を強化しないとならないとは言っているのです。その例として再生医療などの分野を挙げてはいます。日経のインタービュアーは、イコールそれが規制緩和に繋がると頭から思い込んでいるようです。

規制緩和が経済の拡大を起こすと、鰯の頭も信心からで信じ込んでいるのですね。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。

yna

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