先日、本田のACミラン移籍後初出場となった試合は、負け試合ながらも本田の惜しいシュートがあったこともあり、日本で大きなニュースになっていました。
しかし、この試合、対戦相手のサッスオーロから見ると実にスペクタクルなゲームだったと言えます。
サッスオーロは、ロマーニャ州モデナ県を本拠地とする典型的なプロビンチャで、ついぞ10年前までは4部に所属していたクラブでしたがここ数年でメキメキと実力を上げ、2008年にはセリエB昇格、そしてついに去年はセリエBを優勝し、クラブ史上初のセリエA昇格を果たしました。
しかし、一部の壁はやはり厚く、シーズン開始当初から下位に低迷。降格候補の一角として数えられ、インテル相手には0-7の炭鉱スコアをくらい、首位ユーヴェにも0-4負けなどと、数年に一度J1に昇格しては一年で落ちる地方クラブのサポとしては人事に見えないものがあります。
そして4連敗を喫してホームにミランを迎えたのがあの本田のデビュー試合でした。
試合は開始13分でミランが2点先制する一方的な展開、この時点で解説早野は「これで本田が出しやすくなりましたよねえ」などと鼻くそでもほじりながらやってるのかというお気楽解説です。しかし、その二分後に1点返すと試合の流れは一気にサッスオーロに、謎の勢いを持って攻めこむサッスオーロは前半のうちに更に二点を追加。二点ビハインドをひっくり返す大逆転を果たします。
そしてこの三点をあげたのが、19歳の若きエース、ベラルディです。セリエBで戦った前シーズンは11得点をあげ昇格の原動力となった選手ですが、おそらくシーズンオフにはサポの間では彼がセリエAで通用するしないの議論が喧々囂々と繰り返されたのではないかと思われます。そして通用すると言っていたサポは今頃鼻高々なのでしょうね。
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まさにスーペルだった二点目。DFは体を入れてコースを消しているのに、その脇を無理やり振りぬきゴールを突き刺します。
さて試合は後半早々にもベラルディが4点目をあげ、スコアは4-2。これで大勢は決したと言ってよかったはずですが、そうはならないのがサッカーの怖いところです。三人目の交代に本田を投入したミランは本田が攻めのリズムをとると一気に攻勢に転じ、サッスオーロは防戦一方。後半41分にはミランが一点をあげ、一点差に詰め寄ります。しかしミランの反撃もここまで。猛攻を耐えぬいたサッスオーロはホームでミランを撃破し、連敗を4で止めました。
もちろんサポは大喜びです。しかし一部の人たちはこう思ったのではないでしょうか「4点取らなきゃ勝てないのかよセリエAは」と。
おそらくサッスオーロは今シーズン限りでセリエAから姿を消すことでしょう。しかし、あの日のゲームは、この先サポの間で10年も20年も語り継がれていく、それこそ一生心に残るベストゲームとなったのではないかと思います。
そして同じサポとしては、そういうのなんかいいなあと思うわけですよ。
ともあれ今シーズンはこのスイカみたいなホームユニのクラブを応援しようと思った次第です。あんまテレビ放送しないみたいですけどね…
(記:社員R)