2019.08.05
F生 一般

「パルプ」と「バブル」など

夏がこんなに暑いものだということを、毎年 夏に気づきます。
そしてクーラーの導入を毎年検討していますが、きっと一週間後には忘れていることでしょう。

というわけで、いつものように(?)、最近読んだ本のご紹介など。

「パルプ」

チャールズ・ブコウスキー著


チャールズ・ブコウスキーの遺作を、村上春樹の翻訳の師匠?盟友?の柴田元幸が翻訳した荒唐無稽なハードボイルド?
探偵小説?(はてなマークの嵐)

冴えない私立探偵の「俺」が、酒とセリーヌと競馬とケンカと死神女と宇宙人とバーとその他もろもろの状況の中で、
依頼された調査を解決したり、しなかったり。
生と死に関する崇高な哲学的考察があったり、なかったり。

結局、変なストーリーを変な文体で読まされていく← 変な日本語。

猛暑で頭が回転しないとき(回転休業中)に読むのがお薦めかも。

「バブル」

永野健二著

副題「日本迷走の原点」
1980年から1990年頃の株価と地価の高騰とそれに狂喜乱舞した人たち(金融機関、官僚、政治家、一般人)のお話。
想定外に膨張した景気、いわゆるバブルがなぜ起こって、はじけたのか?
当時現場で取材した日経新聞記者が冷徹に、時に熱く回顧した本。

あの頃、バブルの異常に気づき、回避するチャンスもあったのに、エラい人たちの保身や欲得やもろもろで、
結局みんなで熱狂の泥沼に沈んでいったのでした。
そして、その後の「失われた20年(30年?)」で日本はすっかりデフレの国になりましたとさ。

「失われた20年」と言われても、昭和末期から平成に生まれた人たちは何が失われたのかわからないですよね。
つまり「あらかじめ失われた恋人たちよ」というか、「惜しみなく愛は奪う」のような、パンドラの箱に「希望」すら残っていない・・・いわゆる「絶望」の常態化みたいな。

でも、実際のバブルの最中は、バブル状態だと知らずに毎日がお祭りのように浮き足だって過ごしていました(年齢がバレますね)。

「ニムロッド」

上田岳弘著

「絶望」の話と言えば、春先に読んだこの本を思い出しました。
主人公のナカモトサトシは、サーバの運用保守会社と思しき会社に勤務し、Slackで会話しながらサーバの再起動をしている(なんか既視感)。
彼は、ある日突然、仮想通貨の開発担当課長を任命されます(名前が名前だけに。。。といっても仕事は余ったサーバでマイニングをしてるだけ)。

仮想通貨から妄想に繋がるこの物語では、登場人物がみんな「失われた20年」の陰で「絶望」を抱えています。
救いのないお話ですが、芥川賞作品です。

閑話休題

「パルプ」と「バブル」。
題名が似てたので並べてみましたが、よく見ると別に似てないですね。
もっと似た題名の本、例えば「坊っちゃん」と「坊さん」、「走れメロス」と「走れケルベロス」、「金閣寺」と「金山寺味噌」などを紹介したほうがよかったかな。。。

かなり、暑さにやられてる気がしてきた。

「リアルサイズ古生物図鑑 中生代編」

最後につい最近読んだ(観た)本。

「失われた」古生物たちのシュールな写真と文章が暑さを忘れさせてくれます。

そして不思議なことに、心は癒やされ、明日への「希望」が湧いてくるのです(あくまでも個人の感想です)。

F生

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