ライブの感想というものは公演者への思い入れが主となるものであり、
加えて音楽とは感想を共通言語化するのが難しいものであることから、
「ライブが面白かった」という感想はその公演者を知らない他人に言ってもほぼ伝わらないものであります。
今回は、今まで私が見た中で、そうした公演者の情報を抜きにして面白かったライブの話をしようと思います。
オランダの超絶技巧大道芸楽団
メンバーは基本、吹奏楽器全般*2 アコギ ヴァイオリンですが、全員マルチプレイヤーなので、頻繁に楽器を持ち替えます。
アンプラグドかつドラムレスなのはメンバーがステージを動き回るから。
舞台の袖から一列に並んで笛を吹きながら歩いて出てきて、反対の袖に消えたと思ったら、
違う服装でまた出てくるという歌舞伎の早着替えみたいなオープニングから始まり、仮装や寸劇を入れながら演奏します。
クライマックスは吹奏メンバー男が吹奏メンバー女を抱きかかえて顔を近づけたところ。
え、なんでキスするの?と思ったら開けた口に息を吹き込んで音を鳴らす、人間フルートという大技だったのでした。
ちなみに、ビブラートさせるときは頭をひっつかんで揺らします。
アホみたいなことばっかりやってますが、演奏技術は非常に高いという。
終演後、一番後ろの席で余韻に浸っていたら、背後の壁がせり上がってきて演奏が聞こえてきます。
振り返るとなんとそこでアンコール演奏を始めていました。
一番後ろの席が一転して特等席に。非常に得した気分になりました。
彼らはフレアーク・グローバル・オーケストラとして、2015年には札幌にも来ていました。
このときは大道芸なしで真面目に演奏してました。
ジャーマンテクノのレジェンド
もちろん初来日で、平日でしたが当時は会社を早退して気合を入れて行きました。
このバンド、伝説的公演があって、ステージの上に卓球台が置かれておりメンバー二人が出てきて30分卓球をやって、
袖に下がったと思ったら「本日の公演は終了しました」のアナウンス。
そんなバンドですから、何が出てきても驚かないつもりでしたが、当日のステージには
コンクリートミキサー
ブラウン管のテレビ
ドラム缶
などが並べられ、さすがにこれ何が始まるのと場内がざわついたものです。
私の目の前にはドラム缶が鎮座してました。
結局、コンクリートミキサーはコンクリート撹拌音をマイクで拾う。
ドラム缶はその上で鎖をジャラジャラ鳴らす。ブラウン管はハンマーで叩き壊す。などの使われ方をいましたが、
すごかったのは途中でメンバーがガラス板を持ち上げたときです。
振り上げたと思ったら客席に向けては放り投げます。
割れる!と身構えたら、何も起こらない。よく見たら縁が透明です。
実は透明プラスチックの板でした。
なんだ、脅しでやっただけかと思ってたら二枚目を持ち上げます。
しかし、今度は縁が緑色。
ガッシャアアン!!!
割れました、派手に割れて、ガラスの破片が客席に飛び散りました。
幸い私の方には飛んできませんでしたが、正面の人たち大丈夫だったんでしょうか。
これは三度繰り返され、最後はなにかの仕掛けで派手に火花が飛び散ってました。
正直怖かったです。
ライブで身に危険を感じたのはこのときが初めてでした。
しかし、クライマックスは最後に用意されてました。
ローディーがステージになにかの粉をまいています。
そして、それに火を付けると、煙煙煙煙煙。周り一面煙です。
どれくらいの煙かというと1m先なにも見えません。当然ステージも見えません。
この煙がドライアイスのような優しいものではなく、目を開けていたらたちまち涙が溢れてくるようなきつい煙でした。
阿鼻叫喚となった会場内でメンバーは黙々と演奏していたと思われます。
見えなかったけど…
そんな中ローディーがゲラゲラ笑いながら近づいてきて、ハンディカムをこちらに向けます。
君なんで平気なの慣れてるの?
煙が晴れないうちに演奏が終了したと思ったら、「本日の公演は終了しました。」のアナウンス。
ええ、そんなんアリか?!
会場はビルの七階にあり、咳き込みながら階段を降りて地上に出ます。
会場のビルを外から見ると窓からもくもくと煙が立ち上っており、どう見ても火事にしか見えません。
いったどうやって消防法をクリアしたのか全く謎のライブでした。
たぶんしなかったんでしょうけど。
帰路につく途中ふと袖口に鼻をつけました。
くせえ…
このライブのチケットはたったの4500円でした。
物販には東京タワー蝋人形館社長経営のキャプテントリップレコードの商品が並んでいたので、
蝋人形館社長がかなり自腹切ったのではなかったかと思います。
東京タワーという日本を代表するランドマークでありながら世界の拷問だの、
三大ジャーマン・ロックスターだの蝋人形を展示していた、今はなき東京タワー蝋人形館については今回は説明を割愛します。
社員R