このブログの執筆に加わることになりました、糖分大好きっ子と申します。
その名の通り、甘いものが大好きですが、脂肪と塩分も大好物です(コレステロール万歳)。
閑話休題、皆さんは小説はお好きですか?
単行本、文庫本、電子書籍にWeb…色々な方法で小説を読まれているかと思いますが、その中の一つに文芸誌というものがあります。
そもそも文芸誌とは何ぞやという声が上がりそうですが、これは複数の小説(俗に言う純文学)やエッセー、評論。詩歌といった作品が掲載されている雑誌のことを指します。
多くの作家や文豪を生み出しており、いわば現代文学の中心ともいわれる存在です。
中でも「文學界」、「新潮」、「群像」、「すばる」、「文藝」の5誌がよく知られており、これらに掲載された小説は芥川龍之介賞(以下芥川賞)の受賞作や候補作となることが多いです。
ここでは、この5誌の特徴や違いを取り上げてみました。
(「オール讀物」や「小説新潮」などに代表される小説誌というジャンルもありますが、ここでは割愛します)
1933年創刊。
文藝春秋における純文学部門を担う位置にあり、社名における「文藝」といえば文學界と言っても過言ではない存在を誇る。
2021年2月号で創刊1.000号を迎えた大御所的存在で、5誌の中では最多数ともいえる程の芥川賞受賞者を輩出。
名物コーナーともいえる新人小説月評は、文學界本誌だけでなく他誌掲載作品についてもストレートな寸評が掲載されていることで知られている。
代表的な掲載作を挙げると、「火花」(又吉直樹 著)や、「スクラップ・アンド・ビルド」(羽田圭介 著)、「太陽の季節」(石原慎太郎 著)などがあり、いずれものちに芥川賞を受賞している。
新人賞は「文學界新人賞」を主催し、印刷部数は10,958部(2018年10月1日~2019年9月30日算定分。以下同様)。
1904年創刊と、国内で最も古くからの刊行を誇る文芸誌。
その名が示す通り、新潮社が発行する文芸誌で同社の純文学における屋台骨といえるべき存在。
文学のみならず、音楽、映画、絵画といった他ジャンルで活躍するアーティストから寄せられる原稿も多い。
また、作家・三島由紀夫の業績を記念して創設された三島由紀夫賞の発表を毎年同誌で行うことでも知られている。
掲載作品における芥川賞受賞は近年のものでは「首里の馬」(高山羽根子 著)、代表的な作品では「日蝕」(平野啓一郎 著)、「海峡の光」(辻 仁成 著)、「忍ぶ川」(三浦哲郎 著)などが挙げられる。
新人賞は「新潮新人賞」を主催しており、印刷部数は7,629部。
1946年創刊と、講談社の雑誌では最古の歴史を持つ。
自由で前衛的な作風が特徴の小説が掲載されることが多く、3氏の作家・評論家による合評も名物連載の一つとなっている。
新人賞は「群像新人文学賞」を主催しており、過去には村上春樹 氏の第1作目である「風の歌を聴け」が第22回同賞の受賞作に至った。
2020年1月号に大胆ともいえるリニューアルを敢行し、これまでの純文学作品に加え、「文×論」というコンセプトで評論にも多くのページを割くことにより好評を得ている。
掲載作における芥川賞受賞作品として、近年では「ニムロッド」(上田岳弘 著)が、代表的なものでは「限りなく透明に近いブルー」(村上 龍 著)が有名。
印刷部数は6,000部である。
1970年創刊で5誌の中では最も若い。新人から人気作家まで幅広い展開を得意としている雑誌。
集英社におけるエンタメ部門を「小説すばる」が担っているのに対し、こちらは純文学部門がメイン。
適宜掲載される質の高い特集にも定評があり、読者の年齢層の約4割が20代で占められているのも大きな特徴。
新人賞の「すばる文学賞」を主催しており、過去には俳優の大鶴義丹 氏が第14回の同賞を受賞した。
代表的な掲載作では「蛇にピアス」(金原ひとみ 著)が、近年では「背高泡立草(せいたかあわだちそう)」(古川真人 著)がそれぞれ芥川賞を受賞している。
印刷部数は5,000部。
1933年創刊。2019年夏季号で約20年ぶりに全面リニューアルを行い、売り上げを飛躍的に伸ばす。
長らく小説をメインとした構成であったが、リニューアル後は「詩・ラップ・ことば」のようなテーマを毎号ごとに設定しつつ、評論やコラム、エッセーという小説以外の作品も多く盛り込むことで読者を惹きつけている。
また、新人賞の「文藝賞」を主催しており、新人の発掘を意欲的に行っているのも特筆すべき点である。
掲載作における代表的な芥川賞受賞作としては、「推し、燃ゆ」(宇佐見りん 著)や「蹴りたい背中」(綿矢りさ 著)などが挙げられる。
5誌の中では唯一年4回刊行(ほか4誌は月刊)で、印刷部数は8,000部。
「小説トリッパー」は1995年創刊。週刊朝日の別冊という形態で季刊発行されており、主な特色として純文学系とエンタテインメント系の両ジャンルを扱っている。
「むらさきのスカートの女」(今村夏子 著)が同誌掲載作で初の芥川賞(第161回)を受賞。
書評コーナーは他誌のように評論家や作家だけでなく新聞記者も執筆陣として加わっていることで、充実した内容に富んでいる。
版元が朝日新聞社の子会社であるという流れから、書店だけでなく朝日新聞販売所であるASA(朝日新聞サービスアンカー)からも注文が可能。
新人賞は主催しないものの、福岡県北九州市が主催する林芙美子文学賞をサポートしている。
印刷部数は非公開。
文芸誌はなかなか買ってもらえない(むしろ単行本や文庫の方が売れる)うえに、刷り部数が少ないのもあって目立たない存在ではありますが、各誌ごとに色を持ち合わせており、様々な作家の作品が読めるのが特徴です。
機会がありましたら、ぜひ書店で手に取ってみてはいかがでしょうか。
糖分大好きっ子