2022.03.09
F生 一般

「酔っぱらい読本」

3月ですね。(って、始まりはどうかと思う)

近年まれに見る大量の積雪も、ようやく融けて小さくなってきました。
もう春です。
春と言えば、別れと出会いの季節です。
別れと出会いと言えば、宴会、即ちお酒です。
コロナのせいで、宴会はスケープゴートにされていますが、日夜レジスタンスが正義のために戦ってます(?)。

正義のために宴会をするということは、正しく酔っぱらうということです。
正しく酔っぱらうためには正統な流儀や作法が必要です。
ということで、ようやく本題にたどり着きました。

「酔っぱらい読本」

吉行淳之介編 講談社文芸文庫

今回、紹介する本は正しく酔うためのすべてが記述されている「酔っぱらい読本」です(ホントか?)。

 「読本」とは何?(←「酔っぱらい」とは何?じゃないのかい)

そもそも「読本」とは何でしょう。
広辞苑第五版によると、読みは「とくほん」(前に付く単語によって「どくほん」って読みますが)、
意味は、
1.絵本に対して、読み物の本。・・・「よみほん」
2.もと学校で、国語教科書。
3.転じて、広く教科書、あるいは入門書など。
(まったく関係ありませんが、辞書の見出しで「読本(とくほん)」の一つ前が「独房」で、一つ後が「ドグマ(独断的な意見)」です)

 ほんの少し 本の紹介

なので、「酔っぱらい読本」とは、「酔っぱらい」の教科書あるいは入門書というわけです。
内容は、吉行淳之介※編集による酒に纏わるエッセイ、詩歌、短文等々の集成です。
※「吉行淳之介」は、第三の新人、芥川賞作家、吉行和子のお兄さん

厳選された酒呑み作家たちは、丸谷才一、太宰治、埴谷雄高、田辺聖子、井伏鱒二、吉田健一、志賀直哉などなど22人の超有名作家たち※で、その酒のお話は大変勉強になります。
※「超有名作家たち」とは書いてみたモノの今の時代での認知度は低そう

酔った勢いで(!)一部を紹介すると、酒は自分のお金で呑まないという有り難い教えや、呑み代が必要なら裕福な人間からじゃなく貧乏人から借りるべしという深遠な話とか、
二日酔いにならないコツは、酔いが醒めないように呑み続けることだというまさに目からウロコの話、とにかくタメになる(ダメになる)話ばかりです。
そして「酒呑みの最大の娯楽は禁酒なのだ。なぜなら、禁酒は強い意志があれば何度でもできて、そのたびに美味しいお酒を呑むことができるのだから」。。。
さすが日本を代表する作家たちの酒に関する言葉には重みがあります。

と書いてきましたが、実際にそんな話がこの本に書いてあるのか、実はよく覚えていません(というかほとんどでっち上げです)。
読んでいるうちに呑みたくなる本なので、つい本を片手に呑んでしまう(酒を片手に読んでしまう?)、そして酔っぱらうままに譫妄・妄想・想像・捏造・肝臓・強壮・ヘパリーゼ・・・。(なんのこっちゃ)

この本には「続・酔っぱらい読本」「最後の酔っぱらい読本」という続刊があります。

吉行淳之介編 講談社文芸文庫
吉行淳之介編 講談社文芸文庫


もっと言うと、この本には元版(1978年から3年ほどの間に刊行された「酔っぱらい読本」壱(一)~漆(七))があって、これらはその7冊から厳選して3冊にまとめたものなのです。
(ちなみに「酔っぱらい読本(壱)」を発刊当時購入しましたが、(弐)以降は手元不如意で買えなかったのでした)

酔って文章を書くと、とりとめが無くなりますね。。。

「新版 ウイルスと人間」

酒と人間のつきあいの歴史は長いのですが、ウイルスと人間のつきあいはもっと古いのです。

山内一也著 岩波科学ライブラリー

本当は、ウイルス無しには人間も存在しなかったということで「ウイルスと人間」という本を紹介したかったのですが・・・
酒のせいで、もうそんな気力もなく(酒の上での失敗ですね)。。。
この辺でお別れしたいと思います。

春は、酔っぱらいと別れの季節です。

F生

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