2022.03.30
Jackal

人間は考えるちくわである

アメ玉を口に入れます。
アメ玉は体内に入ったといえるでしょうか?

口に入れたアメ玉はやがて溶けて、食道を通って胃へ流れ落ちていきます。
さて、アメ玉は体内に入ったといえるでしょうか?

胃の中など消化管の内部は一般的には「体内」と考えられています。
しかし、皮膚など外界と接している部分を隔てて体内/体外と分けるなら、
胃の中は胃壁の外にあるので体外となります。腸の中も同様です。

では、アメ玉はいつ体内に入ったといえるのか。

生物学的には消化管内で消化されて低分子化された栄養素が
消化管壁を透過して血液中に入ったときに「体内に入った」ということになります。

胃の中や腸の中を体外と考えると、人間というのは体の中心に
消化管というホースの通った、ちくわのような存在とも言えるわけです。
面白い考え方ではないでしょうか。



このちくわの話、「動的平衡」という本の前半に出てきます。
この本のメインテーマはちくわではなく「生命とは何か」で、
ちくわの話から食べるという行為の意味、そして生命活動の本質へと
話が展開していきます。
最後のほうに「エントロピー増大の法則」の話が出てくるのですが
その影響でエントロピーにはまって、しばらくエントロピー系の本を
読み漁ってました。

この手の話が好きな人にはお勧めです。

jackal

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