2026.02.20
社員R

PTA監督のこと

今年のアカデミー作品賞に、ワン・バトル・アフター・アナザーが有力候補として挙げられているので、今日はその監督のポール・トーマス・アンダーソンの話をします。
まず、ポール・トーマス・アンダーソンと、わざわざミドルネームも書くのはなぜかというと、これには理由がありまして、ミラ・ジョボビッチの旦那でバイオハザードシリーズやエイリアンVSプレデターなどの監督にポール・W・S・アンダーソンというのがいて、主にそれと区別するのが理由になります。長いのでPTAと呼びますが。

彼の出世作は何と言っても二作目のブギーナイツで、この80年前後のポルノ映画業界を描いた群像劇は各所で絶賛を浴びました。また、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックのあんちゃんに過ぎなかったマーク・ウォールバーグを主演に抜擢してその後のキャリアの道筋を作り、他にもヘザー・グラハム、ドン・チードル、フィリップ・シーモア・ホフマンなどこの映画からスターダムにのし上がった俳優はたくさんいます。

次作、マグノリアでは、ブギーナイツを気に入ったトム・クルーズが10万ドルといいう異例の低額ギャラで出演します。トム・クルーズといったら出る映画が全部ヒットするので、全興行収入の10%以上持っていく人なんですが、それがたったの10万ドルですからすごいことです。にも関わらずPTA監督、当時大絶賛サイエントロジーにハマっていたトムクルさんにインチキ新興宗教の教祖役をアサインするんですね。しかもこれサイエントロジーのことを知らずにやったというのですから恐ろしいことです。

5作目、20世紀初頭のオイルラッシュを描いたゼア・ウィル・ビー・ブラッドでは、状況設定を決めておいて、あとはエチュードのような即興劇でシーンを撮るという手法を使い始めます。これが正直諸刃の剣でシーンのつながりのおかしい散漫な印象を与えるようになりました。

6作目、ザ・マスターではブチギレ俳優ホアキン・フェニックスを主演に迎えることで前述の手法はピークを迎えました。ここで私は見るのが辛くなって、その後の2作は見ていません。

しかし、盟友フィリップ・シーモア・ホフマンの息子、クーパー・ホフマンを主演に迎えた前作リコリス・ピザは素晴らしい青春映画で、一気にPTA監督への興味が戻りました。

そして今回のワン・バトル・アフター・アナザーですが、移民問題、白人至上主義などのテーマを真正面から放り込んでおり、時流としてはオスカーを取る資格は大いにあるとは思うのですが、アカデミー作品賞はたいてい本命を外してくるので、ここまで本命視されると難しいかもと予想しています。

とはいえ、映画は興行的にコケて、巷では残念監督枠になっている(と私は思っています)PTA監督が一花を咲かすチャンスなので、ここはなんとかものにしてほしいところです。

社員R

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