2026.07.08
うぇびん

「ぽこあポケモン」というゲームのすごさを早口で語る

齢五十にして、ふたたびポケモンにハマってしまいました。ちょうどブログ当番が回ってきたので、ハマるきっかけになった「ぽこ あ ポケモン」(以降半角スペース抜き)について書きます。

と言ってもやや仕事モード、「ぽこあポケモン」というゲームの設計とマーケティング戦略がすごい、という話をします。「社内ブログでは毎回違う話題を書く」という縛りを設けていましたが、この話をしたい衝動に負けました。

「ぽこあポケモン」とは

イタリアの世界遺産、アルベロベッロへ行きたくて作った街。


「ぽこあポケモン」はポケットモンスター30周年の一環として発売されたゲームです。ジャンルは「建築系」にあたり、Minecraftやドラゴンクエストビルダーズがこの系統に入ります。
異常気象で荒れ果てた未来のカントー地方に放り出されたメタモンが、ポケモンたちと力を合わせて街を復興していきます。ポケモンはみんな個性があって、とにかくかわいいです。ゴミ袋ポケモンのヤブクロンですらかわいいです!

北風と太陽

出会ったときはあまり好みじゃなかった、ヨクバリスおばちゃん。今は大好き。


私は建築系のゲームが好きでよく遊ぶのですが、建築系には必ず、ゲームを続けさせるための「ストレス」が設計されています。
命に関わる自然環境、拠点を破壊せんとする敵対勢力、課金や厳しい冒険でしか手に入らない美しい建材、などです。作品によってはNPCもストレスになります(性格が悪い・お使いを要求・友好度が低いとゲーム体験が悪化するなど)。

ところが「ぽこあポケモン」には、ストレスの要因となるものが一切ありません。ポケモンたちは、あばら家に何日放置しても怒りません。美しい建材は苦労なく手に入り、不特定多数とマルチをしなければ家は壊れません。
しかも、ポケモンが進化しません。推しの見た目が変わってガッカリする、ポケモンならではの要素すらないのです。

強面が不意にメロいことをいうのって燃えますよね(えっ)


ストレスがない代わりに、ポケモンたちは愛着を感じるほど生き生きと動き、「ほめ殺し」なくらいにメタモンを肯定し、感謝します。それがとてもうれしく、ついつい毎日ゲームを起動してしまうのです。ポケモンという巨大IPがあるから実現できたシステムではありますが、まさに北風と太陽の童話です。

任天堂の枯れた技術の水平思考

溶岩や火山灰を掃除せず、そのまま活かす方針で設計した街。


任天堂のゲーム設計の伝統として、横井軍平が提唱した「枯れた技術の水平思考」があります。既に常識となっているゲームシステムを根本から見直し、新しいゲーム体験を作る、という発想です。
これまで任天堂は、マリオカートではレースゲーム、スプラトゥーンではPvP、スマブラでは格闘ゲーム、ゼルダBoWではオープンワールドサバイバルをリデザインしてきました。

「ぽこあポケモン」は建築系ゲームを根本から見直してはいません。建築システムだけを見ると物足りないです。ですが、これまでの建築系では対象とされなかった「サバイバルやアクションに興味がない層を開拓するゲームデザインをしている」という点は画期的です。

レゴブロックが、過去にこのようなストレスがない建築ゲームをリリースしていますが、あまりヒットせず「現実に触るユーザーこそ大切にすべき」という方針に回帰したそうです。そういった設計に挑戦し、ヒットさせたということを考えると、「ぽこあポケモン」にも「枯れた技術の水平思考」があると思います。

株式会社ポケモンの遠大なる計画

モジャンボはかせの和洋折衷住宅。実際の家を検索して資料集めからやった。


ここで一つの疑問が出ます。なぜ記念作品に定番だったRPGやバトルだけでなく、分野外の建築系をリリースしたのか?です。これは株式会社ポケモン側に本作のターゲット=ペルソナと目標が明確にあるためでは、と推測できます。

「ぽこあポケモン」をじっくり遊ぶとわかりますが、任天堂がこのゲームを遊んでほしいのは「子どもの頃にポケモンに触れていたが、今は距離を置いている人」です。「あつまれどうぶつの森」をプレイした「大人の女性」をターゲットにしていると感じます。
実際、このゲームの配信をしている人は圧倒的に女性が多いですし、UIデザインもドールハウスのような優しさを持っています。

メタモン=私の自宅。生まれ変わったら若いうちに住みたい家、というコンセプト。


さらに、「小さな子どもがいる母親」に注力していると感じます。メタモンをはじめとするポケモンたちはひたすら健気で、母性本能をくすぐられます。母親業はなかなか感謝されないですが、ポケモンたちは褒めてくれます。建築系なので家事の合間にいつでもプレイでき、子どものそばでも安心して遊べます。

母親層がポケモン世界に戻ってくることで、子どもにYouTubeの「ポケモンきっずチャンネル」を見せ、ポケモンセンターやポケパークに子どもを連れていき、やがて次世代にポケモン愛が引き継がれる…という、任天堂の遠大なる計画が垣間見えます。

戻ってきやすい

私の背後で仕事を見守るメタモン

…と、かなり熱く語ってしまいましたが、実は現在は毎日は遊んでおらず、別のゲームをやったりもしています。「あつまれどうぶつの森」だと、しばらくゲームを起動していないとかなりのペナルティがありますが、「ぽこあポケモン」はそれがありません(期間限定イベントを逃す可能性はありますが)。いつでも戻ってこられる安心感は、ずっとゆるゆると続けていくモチベーションになります。

次はどのポケモンに、どんな家を建ててあげようか?と考えるのが楽しいです。たぶん、むこう1年はプレイするのではないかと思います。

うぇびん

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