2017.02.06
タイヤ

40パーくらいの確率でヒステリカル真面目

初対面の相手と話をするときに避けるべき話題として「政治」「宗教」「野球」がよく挙げられることに対して特に異論はない。どれも非常にセンシティブな話題であるから、初手でいきなり自らこれらの地雷を踏みに行くような真似をする必要は全くないし、仮に地雷が爆発しなくても、その後うまいことお話が進むとも思えない。
趣味の話なんかもいいかもしれないと思ったけれど、もし相手が「スターウォーズ」とか「ガンダム」または「ビートルズ」のように比較的「濃い」ファンが多数存在するものの愛好者であった場合、ああそうですか……などと適当な相槌を打った瞬間、相手は飢えた獣の眼光のそれでわたしをねめつけるに違いなく、そうなるとこの場をどうやって生き残るか、というある種の脱出ゲームが急遽開催されることになって世間話どころではなくなってしまう。
だから大抵の場合はその日の天気がいいとか悪いといったどう転んでもまずセーフであろう話題が選ばれることになるわけで、白でも黒でもないグレイなところを選びがちな日本的思いやりマインドは素晴らしいネーと生粋の日本人であるわたしはそういうのでいいんだよ、いや、そういうのがいいんだよと、雑貨商を営むどこかの大食い下戸アウトレイジおじさんのようなことを思うのである。
 
 
 

思うのであるのだが、天気の話と同様に、RPGでいうとレベル2くらいの感じの気楽さで持ち出されがちなのが血液型のお話で、わたしはこれがひどく苦手というかむしろ嫌悪、ていうか憎悪しているわけだ。というのもたとえば今ちょっとググってみたところ、A型は几帳面で真面目、B型はマイペースだが好奇心旺盛、O型はおおらかでバイタリティがあり明るい、AB型はクールで知的だが変わり者などとそれぞれの特徴らしきなにかが見つかったが、わたしはこういったいかにもそれっぽいけれど実際のところ何の根拠もない決めつけや決めつけられがマジで本当に我慢ならんのだ。
たとえばAB型は人付き合いが苦手であるとか面倒くさいとか、またA型だと任された仕事をしっかりやるから信頼が厚いだとかあちこちで言われたり書かれたりしておりますが、ちょっと考えてみて下さいよ。そんなの時と場合によって血液型とは無関係に誰にだって当てはまることじゃないですか。具合悪いときには誰だって具合悪いから早く帰ってゆっくりしたくなるだろうし、難しい仕事を一生懸命やればよくやったねと言われるのも血液型関係ないじゃないですか。
「バーナム効果」でググってもらえばわかりますが、この血液型診断だか占いみたいなものは結局のところ誰にでも当てはまるようなことをそれっぽくなんとなくそこはかとなく羅列しただけのものでしかないわけです。なのにあいつらときたら(誰だ?)、◯型ですか? ああやっぱりねーとか、逆に◯型なんですか? えー見えないわーとか、わたしの気持ちも知らず一方的にわたしの人間性を評価してくださるわけです。ああ腹立たしい。いい年したおっさんであるわたしは内心ホンマけったくそ悪いばい、何なのよ、一体それで何がわかるいうねん、ほんとうに腹立つわねえとエセ方言とオネエ言葉で憤るわけです。
 
 
 

仮にものすごーーーーーく頑張って、人間という存在をたった4種類に分類しようとするその傲慢さに目を瞑るとしても、日本人の場合だとA型:B型:O型:AB型の血液型分布はそれぞれ4:2:3:1らしい。つまりA型の特徴(ということにされているもの)を言っておけば4割方勝手に当たるわけです。というか当たっていると勘違いしてくれる。
それくらいいい加減なものになぜ君たちはそれほどにまで夢中になれるのだ、これだけあやふやなたわごとをどうしてそんなにありがたがるのだ。以前我慢の限界に達して怒髪天を突きまくっていたわたしは友人にそう問うたことがある。興奮したわたしのとっちらかった憤りを、友人は辛抱強く最後まで聞いてくれて、そして諭すようにわたしに言った。「いや、そんなのみんなわかってるしさ、あれはほら、そういう曖昧なルールをもとにしたゲームみたいなもので、あれをもとにふわふわした会話を楽しむためのものなんだよ」と。
わたしは愕然とした。ウッソーやだお前、それマジかよ、つまりあれ自体はえーそうかなーとかやっぱりわかるー? みたいなあの◯◯(伏せます)で◯◯(また伏せます)みたいなやりとりのためにある大ざっぱな前フリでしかないってこと? 俺がイライラしてるとみんなヘラヘラ笑ってたけれどあれはこのおっさん血液型占い遊びのたしなみも知らないでマジレスしてるわという嘲り笑いだったってこと? ちょっと待ってくれや、そんなの今まで誰も教えてくれなかったぞ、学校でもそんなの習った覚えないもん、ふざけるな! 納得できなかったわたしは抵抗する友人をガムテープで縛り上げ、嫌がらせとして彼が使っていたマウスのボールを取り出して豊平川に投げ捨ててそれ以来、彼とは会っていない。
 
 
 

というわけでやはり血液型云々の話は未だに納得いかん、いかんぞと憤慨しつづけているし、そういえば彼の拘束を解かずに帰ってしまったが無事だったのだろうかと今思い出したがそれはまあ今さらどうしようもない事なのでみなさんも忘れましょう。わたしは忘れた。マウスはたぶん光学式マウスの新しいやつに買い替えてるでしょうし、忘れましょう。とにかく、我ながら面倒な野郎だなという自覚はあるのだが、やはりどうしても件の血液型なんとかについては納得がいかないことばかりなので、なにか大怪我をして至急輸血が必要になったなどのやむを得ない事態にでも陥らない限りは血液型について語らないことにしている。もしそういう事態以外でどうしてもわたしの血液型を知りたいという方はいないとは思いますが、たぶんAかBかOかABのどれかだと思いますので、お好みでどうぞ。
 
 
 

ちなみにゴリラは全員B型だそうで、B型は経営者、接客業、芸能人、営業に向いているらしいです(一応調べてはみたがエビデンスらしきものはもちろん見つけられなかった)。なので、もしご家族や親戚、友人やネトゲのギルドメンバー等にゴリラのお知り合いがおられる方は「あなたB型で経営者とか芸能人でしょう?」と、あるい逆に経営者や接客業や芸能人の方とお知り合いであるなら「あなたB型のゴリラでしょう?」と言えばいずれにしても「ウホホホッ!?」と驚かれることうけあいなので、ぜひお試しください。ちなみにわたしの交友範囲圏内にゴリラはいないからそんなことを言ったらその後どうなるか分かりませんので、もし試す時は自己責任でお願いします。それでは失礼します。

 
※当エントリは一部フィクションを含んでおります。実在の人物、団体等とはだいたい関係ありません。寒い日が続いております。お体に気をつけて。
 
 
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