2017.10.27
タイヤ

書いてから読み返したら「言いたい事は最後の一行だけでは?」と気づいた。

入社後にこのブログで何か書きたまえよと言われ、ヘイ、自分でよければ書かせて頂きやす……しかし一体なにを書けばよいので? とブログ編集長にたずねたところ、何でもええ、好きなように書けと言われまして、では旦那、あっしが××××のころの××だった××××が××された話でも……と攻める気まんまんで腕まくりしたところ、いきなりそういうのはやめろ、というか何でもとは言ったがそういう感じの話はどこでもだいたいアウトだ、といった旨をわたしにも理解できるやさしい言葉で教えていただき、おかげさまでこうしてまた何かしら書かせていただけるのはとてもありがたい話でございます。

  

しかしながら先のような話を封印した場合、わたしに話せることのだいたい8割から9割がそういう話であったりかしているので、今こうして思いつくままキーボードを叩いている間もいったいわたしに何が話せるというのだろう、マジでどうしようと気が気でないわけです。なので当たり障りのない話題として季節のお話でもしてお茶を濁しまくろうかなあと思うわけです。完璧な作戦。
  

わたしが住まう北海道という場所は夏が大変短く、だからこそわたしは夏が大好きなのですが、今年はいろいろな事情で夏らしさというものをほとんど味わうことなく今この秋と冬の間くらいという中途半端な時期を迎えてしまい、なんとも寂しい限りです。ただこの秋という季節はあらゆるものが色あせていくからなのか、だいたいの場合は何があってもなくてもどこか物悲しいシーズンであると認識されている気がします。名曲「Autumn Leaves」などはまさにこの時期には実にしっくりくる曲で、エリック・クラプトンさんなど様々なミュージシャンにカバーされております。余談ですがわたしはHAWAIIAN6のカヴァー・ヴァージョンが好きです。オリジナルが好きな方は激怒するかもしれませんが。
  

それはそれとして、わたしもまた秋を迎えるとどこかしらざわつくというか、心のやわらかな部分をトンと押されたようになんとも言えない気持ちになります。思えばわたしの父が長い闘病の末に旅立ったのは今くらいの時期でした。あの頃わたしはまだ20代で、最期はほとんど眠ったままで過ごしていた父を見舞いに来て、特に世話をするでもなくやることはやったと言わんばかりのすっきりした顔で帰っていく親戚たちが無性に腹立たしかったものです。わたしのことはともかく、自分たちは何をするわけでもなく母に世話を押し付け、世間話をしていくだけなら来ないでくれと当時のわたしはそれはもうビリビリしておりました。
  

ただそんな父も他界して十余年、怒りというものはそれほど長続きしない感情なので、今となってはそんなこともあったなあと懐かしさすら覚える思い出となり、親戚たちの気持ちも理解はできるわけです。あれだけ悪かったはずの彼らも許せるようになった、要するにわたしもまた歳を取り、多少はなにかを学んだのでしょう。具体的にはなにかを許すとかそういうことを。怒りは大きなエネルギーですが、それは自分を含め誰かを癒やすようなものではないのです。今のわたしはそう思っていますし、誰にとってもそうであってほしいものです。
  

ではなぜこの時期は心がざわつくというようなことを先程言ったのかと申しますと、あれは今から一体何年前だったか、しかし季節は確かに今頃だったはずです。当時勤めていた会社へ自転車で通勤していたわたしは、その日もいつものように冷たい風を受けながら自転車をこいでおりました。と、突然ガシャン! という大きな音と衝撃に襲われてわたしはその場に転倒しました。いったい何が起こったのかわからず周囲を確認すると、白い軽自動車からおじさんが降りてきて「大丈夫かい……?」とわたしに声をかけました。次の瞬間にようやくわたしはこの老人が運転する車にはねられたのだと認識したのです。わたしは冷静に携帯電話を取り出して通報し、老人に免許証を提示させ……

  
とその場で取るべき行動を淡々と行う、と見せかけ、というか俺轢かれた!! という事実と唐突に向かい合った結果完全に頭に血が上り、じいさんほったらかしたまま現場そばにあったガソリンスタンドへ向かいました。これは通報してもらうためと、店員さんに事故の目撃者として証言してもらおうとしたのです。こうして書いてみると別にそんなに突飛な行動でもない気がします。
  

ちょうど同僚と談笑していた店員さんにわたしは声をかけ、先程の通り通報と証言をお願いしました。しかしその店員さんと話してみるとどうにも要領を得ないというか、なぜわたしがそんなことを言っているのかまるで理解していない様子なのです。そこでわたしは改めて、今そこでじいさんの車にはねられたから警察に電話してくれ、あと目撃者なんだから証言してくれやとお願いしながら振り返って事故現場を見たところ、そこには倒れたままのわたしの自転車があるだけでした。結果的にわたしはひき逃げされたわけです。
  

結局店員さんは事故の一部始終なにもかもを認識しておらず、わたしは仕方なく自分で、あの、なんかひき逃げされたんスけど……と警察に電話をし、事故当時の状況を説明し、警察署で分厚い車カタログを渡され、この中だとどの車に似ていますか? と聴取を受けましたが、ただでさえ冷静でなかった上に車というものに対しての興味や知識がゴム手袋に対するそれと同程度しかないため、なんか白っぽくてわりと小さめの車でご老体が運転してました……と答えるのが精一杯で、これ絶対あいつ捕まらねえな……と自分でも思ったことをよく覚えています。
  

そんなわたしを気の毒に思ったのかわかりませんが、わたしの聴取をした警官の方は、こういう犯人は別の事件や事故で捕まった場合、過去の余罪も勝手に自白することがよくあるから……と言ってくれました。慰めてくれたのだと思いますが、わたしには暗に諦めなせえ、お若いの、と言われているようにしか聞こえませんでしたし、当然今日に至るまであのジj、おじいさんが捕まったという話もないわけです。通勤途中の事故ということで労災扱いになり治療費の類で苦しむことはありませんでしたが、その後数週間は腰やら背中やら痛えし思い出したら今でも腹立つし、なんで俺最初に免許証抑えなかったんだよ畜生、普通最初に免許証だろ、馬鹿か俺はと今こうして思いだしてもイライラするし、あのクソジj、じいさんが買うアボカド全部腐ってる呪いにでもかかってねえかなと怒りの炎に焼かれて日々を生き抜くエネルギーを得るのです。やはり人間は怒りを忘れてはいけないのです。少なくともひき逃げ犯に対しては。というわけで秋らしい話をさせて頂きましたが、ここまで読んで頂いたあなたには、ひかれたらまず免許証確保、これだけはしっかり覚えておいてください。それでは。

タイヤ

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